「最低。」の意味。
こんにちは、鮎川きの子です。
今回はAVの紹介ではなく、ある映画について、語ってみたいと思います。
AVもとてもとても大好きなのですが、映画も幼少期から触れてきたもので、変わらないくらい大好きなものなのです。
きっと私は、映像での表現が好きなんだろうなぁと思います。
今回紹介をしたい映画は、AV女優紗倉まなさん原作の小説が映画されたとして、話題になった「最低。」です。ご存知でしょうか。
【作者・紗倉まなさんをご存知のない方のために。】
紗倉まな 25歳。AV女優をはじめて8年目になるSOD専属女優さんである。(SOD=ソフト・オン・デマンドというアダルトメーカーさんです。)
高専在学中にデビューをし、
そこからというものAV女優と枠に囚われず、アイドル活動やコラムの連載を持っていたり、ラジオDJ、コメンテーター、そして、小説家としても名の知られている存在でございます。
個人的には、Voicyというラジオアプリにて、様々なお悩みや色んなことをお話になっている癒されまなさんvoiceが近くで聴けるVoicyさんにハマっています。(皆様もぜひ←突然の宣伝)
そんなまなさんの処女作となるこの「最低。」なのですが、
AV女優さんが原作ということだけでも話題となるのですが、
監督がなんと「8年越しの花嫁」や「64₋ロクヨン₋」など様々な代表作を生み出している瀬々敬久監督とのタッグとのことでさらに業界内外で話題になりました。
昨年の12月に公開されてから、劇場に3度足を運んでしまうほど、ハマり、先日DVDが発売されたので改めて見直してこのブログを書いています。
さて、話は戻りまして、最低。を観た方は、こんな考え方もあるんだなと思っていただきたいですし、まだ観ていない方は観るきっかけになることが出来たらうれしいなと思います。
―――――――まずこの作品は、3人の女性が出てくるのですが、平凡な日常に耐えきれず、新しい扉を開く34歳の主婦・美穂。ぎくしゃくした関係性の家族たちから逃げるように上京し、AV女優として多忙な毎日を送る25歳の彩乃。奔放な母親に振り回されながらも、絵を描いている時だけは自由になれる17歳の女子高生・あやこ。
境遇も年齢も性格もバラバラながら、それぞれAVと関わりを持つという共通点のある3人の女性たち。
ある出来事をきっかけに彼女たちの運命が大きく動き始めます。―――――――
まず、この作品のタイトルにもなっている「最低。」という言葉の意味。
皆様は、”最低”という言葉を聞いて、どういったイメージを持たれていますでしょうか。
大多数の人が、”最低”という言葉は、マイナスなイメージを持たれているかと思います。
その意味もこの映画を通して、どうして、「最低。」なのか、この答えは十人十色だと思います。
わたしが思う、「最低。」の意味は後程書かせていただきましたので、最後まで見ていただけたらと思います。
勝手ながら、私はこの作品を観て、”AV”以外でテーマを決めるとしたら、
「承認欲求」「居場所」「孤独」この3つかなと。
〇承認欲求
承認欲求とは誰かに認められたいとかそういう欲求のことを言いますが、今AVに出演している女の子たちはこの承認欲求を満たすための子が多いと思うんです。特にAV女優をしている綾乃や、主婦の美穂も旦那とのセックスレスが原因でAV女優になろうとするのですが、きっとこの承認欲求が足りない人達なんだろうなあと。だからこそリスクより何より、今の感情で、踏み込んでしまう世界なんだろうなぁ。でもその世界は誰かを救ってることも間違いない。わたしもその1人だから。
〇居場所
居場所も承認欲求と重なる部分はありますが、
現状に満足出来ず、自分には居場所がないと感じてしまうこと皆様もきっと今感じている方、もしくは過去に感じたことがある方いると思うんです。この居場所が人それぞれ違う中でそれがAVだっただけ。たったそれだけだと思うんです。
〇孤独
孤独と言っても、ネガティブな孤独ではなく、希望がある孤独だなぁとこの映画を観て感じました。
「最低。」というこのタイトルの→。この句読点も希望を込めたものだと私は感じていて、一回偏見とかマイナスイメージを自分の中で受け入れて、私は次に進むぞ!進んでいるんだ!そんな意味の「。」だと感じました。最低といっても色んな考え方、感じ方、意味合いがあるな~と。
おこがましいのですが、まなさんがなぜこの句読点を付けたのかいつの日か聞いてみたいと思う鮎川です。
そして、この映画には「AV」という共通テーマがあるのですが、まったく重ならないそれぞれ3人のストーリーがあって。
自分が関わったことはないはずなのに、どこか気持ちを重ねてしまう、「わかるわかる」っていう部分があって、それは女性なら共感される方は多いのかなぁとそう思うんです。
それは女性ならではだと思うんです。男性だと心を痛めてしまいそうなかなり激しい心の描写もありますから。
その中で、私が一番注目してほしいのが、”人間関係の心の動き”。
作品の中で、上京だったり、誰かの死や、家族、夫婦、友達、様々な人間関係やターニングポイントである部分があって。
AVユーザーの多くは、男性だと思うのですが、男性にとって”AV”は消費されるコンテンツとしているため、AV女優さんの心境だったり、バックグラウンドを考えさせられるこういう映画を見るに至るまでが普通はいかないと思うんです。しかし、男性にこそこの映画は観てほしいのです。
女性はきっとどこかで共感を得る部分があると思うのですが、男性はこの映画をみたら、女性に優しくなれる、そんな気がするのです。
そんな中考えさせられるのは、もし、身近な人が出演してたら、素直に応援できるかどうか、作品を見れるか、といわれると複雑なところであります。
なので、各主人公の身近な人が毎回でてくるんですが、その女性たちを取り巻く環境や、その人との関係性、心境の変化にぜひ注目してほしいです。
またAVには女の子が必要不可欠だけど、その女の子の家族や恋人にとっても必要不可欠な存在であるんですよね。
〇私が一番好きなシーン【ネタバレ注意!】
AV女優である綾乃の母が家に「いつでも帰っておいで」と置手紙を残したことに対して、母を問い詰めるシーンにて。
綾乃が「いつでも帰っておいでなんて、勝手なこと言ってるけど 戻るなんてできるわけないでしょ!!そういう仕事してんだよ、わたし!」と駅の待合室で語るシーンが一番泣いて、一番心が痛みました。
そのあと、母が何も言わず抱きしめるのですが、
「ごめんなさい・・ごめんなさい・・」と泣き続ける綾乃を見て
こういう場面って色んな人に当てはまるのかなぁと。
親に反対されていた何かがあって、家出同然で出てきたのに、いつでも味方でいてくれたり、仕送りをおくってくれたりとかそんなことにも反発してしまったり、
反抗期に失礼なことを言ってしまったことが大人になっても心のどこかでずっと気になっていたりしている人にはとても響くシーンなのではないかなぁと思います。
この映画は、一般受けする映画ではないかもしれません、、が、今の時代いつ自分が当事者になるかもしれないし、友達・彼女などがやっていたり、もしかしたら今もやっているかもしれない。
それがもういつでもだれでもあり得うる世の中になっているのです。
そういう意味ではこの映画は、日常にうまく寄り添って物語が進んでいくので、現実身のある映画なんじゃないかなと思います。
それを偏見のある見方をするのか、受け入れるのか、自分自身がそういう立場になった時、どう考えるのかこの映画を観たら、自分の気持ちに気づくことができると思います。
長々と語ってきましたが、
この映画にだけに留まらず、AVでも、こういった人間関係の深い部分に触れたり、ドキュメンタリーな作品も多々あるので、
がっつりエロが苦手な人には、そういう作品たちをぜひチェックしてほしいなぁと思います。私もまた皆様に観てほしい作品をこれからも紹介していきますのでどうかこれからも見てくださったら光栄です。
では、また。
追記::たくさんの方に読んでいただいて、本当に光栄です。ありがとうございます。
たくさん書きたいことがアップしてから、出てきたのですが、ぐっと堪えこれだけ言わせてください。
原作となった小説「最低。」の方もよければ読んでいただけたらと。
映画には出ていないもう一人の女性のストーリーもぜひ読んでいただきたいのと、一人ひとりの心情はより小説の方がわかると思います。
そして、紗倉まなさんのやさしさや、繊細さ、丁寧な人柄がよりわかると思います。
ーこの作品に出会えて、よかった。